水道の蛇口の向こうに、森が見えますか

  

水は自然の恵みではあるが、無限にあるわけではない。
豊かな自然資源とも言えない。

地球上にある水の量は、ほぼ決まっている。
およそ13億8600万k㎥(1k㎥=1000000㎥)
の水が、地球上にある。
しかし、このうちの97.5%は、塩水。
淡水は2.5%で、3500万k㎥にすぎない。
そのうち地表にある淡水は、僅かに13.5万k㎥。
利用可能な地下水は、1050万k㎥。
残りの69.5%は、氷河や永久凍土で、利用のできない淡水。

地球上の生命の生存の鍵は、主として海から蒸発する水が、ある程度陸上に雨や雪として降り、河川に流れ込み、土壌を潤し、地下水を補充することにひたすら依拠している。

供給される水の量も、利用可能な水の量も、およそ決まっていて、需要が増加したからといって、供給絶対量を増やすことはできない。
人口の増加、産業の無制限な発展、は、水不足を飛躍的に加速している。
2000年に世界中で使われた水の総量は、1960年と比較して、2倍になった。

世界の水の、約3分の2は、農業が使っている。乾燥地帯への大規模な灌漑用水のうち、ほんとうに作物を育てるのに使われるのは、10%に満たない。
工業用水として使われる水は、約20%強であるが、その排水の多くが、再利用が困難なくらいに汚染されてしまっている点に、大きな問題がある。
生活用水として使われるのは、10%あまりで、主に都市で消費される。

地球上に降る雨や雪の量は、世界の人口ひとりあたりに平均すると、一日20㎥に相当するが、2000年には世界の人口のうちの5億人が、慢性的な水不足に苦しんだ。
慢性的な水不足とは、1人一日あたり20ℓ (0.02㎥) の水も得られない状態を、おおよそ推定している。この場合、水がどれだけ汚れているかいないかは、問題にしていない。
一方、カナダやアメリカ、ニュージーランド、アラブ首長国連邦などでは、一日一人当たり200㎥以上の水を消費している。(庭や芝生や植栽への長時間の散水やプールが、大量の水の消費をもたらしている)

2050年には、推定人口の約半分の40億人が、慢性的な水不足に苦しむという予測もある。

世界中の生活用水道として供給される水の、約40%くらいは水道管から「漏水」で失われていると言われている。
ようやく家庭に届いた水道水も、そのうちの30%は、ただ単にトイレで流し去っているにすぎない。

これらの事実から、水問題の解決方法のひとつに、水道管の総点検補修を含む「水供給の有効な見直し」があることは、まちがいない。
また家庭やオフィス、工場、店舗、公共施設などの水利用に関して、「上水」と「下水」というカテゴリーの間に、「中水」の概念の導入の時期が来ている。
このような考え方を、「水利用のソフトウェア」または、「水のソフト技術」と呼んでいる。

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