渋柿〜柿渋

秋になり、街から離れて少しだけ田舎へ入ると、どこの家にも1本2本渋柿の木を見ることが出来ます。
何故、わざわざ美味しくもない渋柿を植えるの?と疑問に思っていましたが、どうやら理由がある様です。

代表的なものの一つはご存知「干し柿」等、渋を抜いて加工をし美味しく頂きます。
皮をむき、ヘタの部分にヒモをくくりつけて、家の軒下などに吊るします。自然乾燥させて甘くするのです。
秋に乾燥させて食べるということは、冬の間の保存食でしょう。
その歴史は古く、平安時代には知られていた様です。

もう一つは、今ではあまり耳なじみがありません。
「柿渋」です。
〜渋柿の未熟な果実を粉砕、圧搾して得られた汁液を発酵・熟成させて得られる、赤褐色で半透明の液体。(Wikipedia)〜 とあるように、なにやら渋柿よを加工して作り出す、液体の様です。

こちらもまた、古く平安時代までさかのぼる様です。
防水・防腐を目的に魚網や、酒・醤油を搾る布袋、民家の板壁や扇子や傘の塗剤等、水や湿気に関係するさまざまな分野で使用されてきました。
また、民間薬としても、火傷や高血圧などに効くとして盛んに利用されました。
昔から農家の軒先でつくられる生活必需品だったのです。

柿渋の手軽な作り方
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1.青い渋柿を用意します。

2.厚手のビニール袋に青柿を入れ、木槌などでたたいて砕きます。

3.たたいて砕いた青柿をプラスチックの容器等に入れ浸るぐらいの水を加えます。ふたはしないで、そのまま2〜3日置きます。1日2〜3回容器内を撹拌します。2〜3日すると泡が出て発酵が始まります。

4.3〜5日で発酵が進み、異臭が強くなります。布袋に少しづつ入れしぼります。(ゴム手袋をして作業しましょう。匂いが手にうつると2〜3日消えません)

5.しぼった液はバケツや樽に入れ、密封せずに(布を上にかぶせて)冷暗所で発酵させる。

6.11月下旬頃、瓶など貯蔵容器に移し、冷暗所で保存します。異臭は日が経つにつれ消えます。
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手軽な作り方と言うには悪臭も強くさほど「手軽」ではないかもしれないが、昔からの生活の知恵「柿渋」づくり、挑戦されてみてはいかがでしょうか。